回想1。

泣きたいけれど泣けないような、莫大な憂鬱が今、この胸にあって、どうしたものか困惑している。
いつから大粒の涙を流して泣き叫べなくなったのだろう。
一番最近でも、僕の野球人生が終わった瞬間、最後の大会決勝で負けたときだった。
いつも僕たちを罵倒してばかりだったコーチが、「お前たちを優勝させることができなくてすまない」と言ったとき、琴線が突然切れた。
中学校3年間悔しいときも辛いときもずっと我慢していた涙が溢れ出して、止まらなくて。
今でも鮮明に思い出せる、数少ない中学での記憶。
あのときからずいぶん時は過ぎて、あのときより激しい悲しみに打たれているのに。
かすれた涙しか出ない。
激しい衝動に応えるように泣きじゃくりたいのに、涙腺は機能を失ったように働きを止めている。
憂鬱だけを残して。