浅い眠り浅い眠り

「最近は浅い眠りを繰り返してばかりだった。今日も浅い眠りだっただからあんな夢を見たんだ。」矢継ぎ早に彼は言いました。彼はいつもの落ち着きがありませんでした。「俺の過去が改竄されたかと思うくらいリアルな夢だった。生きる気力を失うってのは、あんな喪失感を言うんだ。」ぎょろりとさせた彼の目は、もはや僕を捕らえていないようです。「俺の目は今濁っているだろう? 耐えられないんだ。今濁ってるのにはもう慣れたが、随分昔から濁っていたという事実を突きつけられるような夢だった。なんだっていうんだ。これじゃあ全否定じゃないか。」夢が全否定って、と僕が言いかけた頃には、彼はコーヒーの中に白く埋もれていたのでした。ちゃんころ。