岬に載せるかもしれないレポ。

八月九日、僕は大学見学のため、大阪に降り立った。
空港を出た瞬間にモワッとした熱気が身体を包み込む。不快な暑さだ。やはり秋田とは確実に違うのだと教え込まれているようである。東北から来た田舎者でも受け入れてくれる冷房のあたたかさを感じながら、僕はモノレールで大阪大学に向かった。
と言っても、オープンキャンパスではない。日程が合わなかったため、ただ大学がどんなものか見て帰ってくるだけである。意味がないようにも思われるが、百聞は一見にしかず。見て初めて感じるものもあるだろう、きっと。
駅から五分あれば着くところを二十分くらいかけて、まわりの環境を確かめながら、なんとか大阪大学のグラウンドにたどり着いた。迷っていたわけではない。気の向くままに歩いた結果である。少しは地図を見よう、というのを玉のような汗を流した後で気づいた。グラウンドでは、軟式テニスとサッカーが行われていた。見てるだけで暑い。午前中からこんな人数で活動するわけがないし、大学もさすがに夏休みなのだろう。
大阪大は、やはり規模が違う。道路は整えられていて、歩道があり、緑がある。ひとつの街に来たみたいで、不思議な感じがした。僕が志望する文学部は、大阪大学の中でも古い趣のある建物だった。文学部らしく、歴史ある建物。ここで勉強できたらいいな、と素直に思った。
今度は神戸大に向かった。今日も日差しが強く、暑い。最寄り駅の六甲駅に着き、さてどこだ、と地図を見てみると、神戸大は山の上にあることがわかった。脳の辺りが白くなったのを感じた。
地図を見たのにやはり迷いながら、神戸大に着く。途中、四十五度くらいの傾斜の坂もあり、予想以上に労力を使った。ふらふらしながら大学に着いた僕が目にしたのは、パノラマに広がる神戸の景色だった。息を呑むほどきれいで、ぼーっと十五分くらい日陰に座って、その絶景を眺めながら過ごしてしまった。神戸大学は、自然豊かで、通うのは大変そうだが秋田育ちの僕にはちょうどいいのではないかと思った。とても落ち着くし、波長が合う感じがする。
大学についての詳しい情報を知るのは資料請求などでも出来る。今回、百聞は一見にしかずを自分で証明できたような気がしている。あとは理想を実現できるように、今から頑張るだけだ。